# お金について
お金に関して、今思えば、両親は本当に何不自由なく、自分のことを育ててくれた。
水泳とかピアノとかの習い事とか、塾とか、高校から私立の学校に行くとか、大学にも行かせてもらって。
でも、両親(特に母親)が事あるごとに、"うちにはお金がない"といったことを口にしていて、それってなんだか寂しいな、、と誰にも言わなかったけど、思っていた。
だから、自分も稼いでやろうと思うと同時に、できるだけつましく暮らして貯金をして、余裕のある生活(とは言え、それが何なのかよく分かっていなかった…)をしようと思っていた。
でも、たぶん30歳前後くらいだったと思うけど、世の中のお金にまつわるからくりみたいなものがなんとなく分かってきて。なんというか"キリがない"というか。
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社会人2〜3年目の頃は、年に何回もグアムに旅行をしにいっていた。
グアムのゴルフ場のマネージャとして友達のお父さんが単身赴任をしていて、そこに寝泊まりさせてもらいつつ、そいつの知り合いの現地のダイビングショップでお世話になって潜りまくる的な。とても楽しかった。
が、その前段にちょっとした話があって。
はじめてグアムにダイビング旅行に行くのに、当時自分だけライセンスを持っていなかったので、都内にある某ショップに行って、2日間のライセンスを取得するコースみたいのに参加した。
確か1日目は東海道線の小田原の手前くらいの駅のそばのプールで実技をしてショップに戻って座学、2日目はショップに朝早く集合してワンボックスワゴンみたいな車で若いスタッフが皆んなを連れて伊豆方面に移動する。2本くらい潜って、いろんな魚を見たりしつつ、ライセンスを取るために海の中でジェスチャーをしたり、耳抜きしたりとか、そんな感じだったと思う。で、アジフライ弁当的なのがとても美味しかった記憶があるのだけど、それを食べてから車でショップに戻って、ダイビング手帳みたいに色々と書き込んだりして。
無事にライセンスをとれてメデタシメデタシ、、かと思いきや、そこからショップによる猛烈な売り込みが始まる。笑
レギュレーターという空気が圧縮されたボンベから人間が吸えるように減圧するヤツがあるのだけど、それの先っちょのマウスピースとか(喉の乾き具合が全然違うらしい)、自分の体型に合ったウェットスーツとか、アレやコレやオススメがはじまって、そのショップにいた既にライセンスを持っている人が、私はコレを買って使って調子イイとか、なんか自分的には嫌な空気になり、一緒にライセンスを取った人たちがガンガン色々と買い始めた。
というか、確かライセンスの費用の中にポイントみたいのが含まれていて、それを使ってゴーグル(度が入ってるヤツ)とシュノーケルを買ったのだけど、ちょっとポイントが残ったから一番持ち出しが少なそうなインナーだけを自分は買ったのだけど『えっ、それだけ?』的ななんか冷ややかな目で見られたというか。
周りの人は、今後頻繁にこのショップのツアーに参加する予定で、せっかくなら快適に潜りたいしねみたいなそんなことを言ってた気がする。あと、会社帰りにこのショップに寄ったりみたいなこと言ってた。つまり、ただライセンスだけ取りに来ました、みたいな人は自分しかいなかったのだ。
そして、更にショックだったのは、そんなにショップでグッズを売ったとしても、スタッフの人は薄給+激務で、若くなきゃ出来ないらしい…みたいな話を講習が終わった後に小耳に挟んだこと。
ボンベを運ぶのが重くて大変なのはイメージしやすいけど、レンタルのウェットスーツ、シューズ、フィンとかをちゃんと洗って干したり、朝早くから車運転して目的地までお客さんを連れてってダイビングツアーをして夜帰ってきて、、みたいな生活は相当シンドいらしい。
海が好きだからとか、ダイビングが好きだから、、っていうピュアなモチベーションで働き始めた人が、チョロそうな初心者に高額なアイテムを売りつけようとギラついてるのか、、って考えるとちょっと引いたというか。。なんだか嫌な業界だな、というか。。
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とは言え、自分はというと、大手と言われる上場企業であるシステムインテグレーターに新卒で入社して、基本給は普通だったけど、残業代がイイ感じに出て、それなりに稼いでいたと思う。
ただ、あんまりお金がどうだ、、とかは不思議と思わなかった。必ず一定額を貯金するように母親が管理してくれたりしたけど、そもそもそんなにお金を使うことがなかった。
それまで狂ったように集めてたレコードもそんなに買わなくなったし、学生時代からの趣味の延長でギターとかターンテーブルとか買ったりしたけどたかが知れてるというか。
結婚をするとか、家を買うとか、車を買うとか、20代の頃はそういうのとは全く無縁の生活だったし、高級ブランド品とかには目もくれず、学生時代に買えなかったJordan1やAirMaxを買うようになったくらいなもので。
ゴルフをしたいと思ったこともないし、キャバクラや高級クラブに自分のお金を使って行きたいとは思わないし、でも、貯金の金額はどんどん増えていきました、と。
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そうこうしてるうちに友達で稼ぐようになるヤツが出てきた。不動産だったり、金融だったり、まぁ色々。会社の同期でも、より待遇のいいコンサルティング企業に転職するやつがいたり。
そんなこんなで自分も、27歳の頃に受託開発とかじゃなくて、自らイニシアチブをとって、、みたいなノリでインターネットサービス企業に転職した。
今思えば、面接で年収の交渉を一番真面目にやったのがその時だった。
今の年収はこういう内訳でこの数字になっていて、こういう評価だと2年以内にこうなるから、少なくともこの金額以上じゃないと、、みたいのを1枚ペラにまとめて持っていって、その場で説明した。
ということで、当時の年齢にしてはそれなりの金額で雇ってもらえて、幸いやってる仕事もそれなりに評価してもらえて、、って思ったけど、自分が担当してるサービスが生み出している利益とか考えたら、、みたいに思うようにもなりました、と。
で、お金に話を戻すと、、生活とか欲しいものとしては大して重要じゃなかったんだと思う。
それより、技術者としての自分の価値とか、なんかこうプロ野球選手の契約更改とかじゃないけど、お給料をそういう風に捉えるようになった気がする。
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そうこうしてるうちにクラウドコンピューティングっていう、自分がインターネットサービスの開発・運用をしていく中で、しんどかった部分がゴソっと…、みたいな飛び道具に魅せられてしまって、33歳にしてはじめて外資系と言われる会社に転職した。
この時は年収の交渉なんて全くしなくて、クラウドやれるんだったら何でもイイっす、みたいなノリだったんだけど。笑
ここで思い知ったのが株の威力というかなんというか。
『3年目からボーナスは株で支払われる』っていう認識しか最初はなくて。
なので、2年目までは現金がもらえるのに3年目からはその現金収入がなくなって、且つ、株は給与所得になるので、手元にキャッシュがないのに税金もってかれるのかよ、、ってことで、確定申告のたびにコツコツ積み立てしてた、さわかみファンドを売っぱらったり、直近で満期を迎える定期預金どれだ、、とかやってたわけですが、結果としては、ひと財産になりました、と(っていうか、結構まだ売らずに持ってるのだけど…)
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そこから今の会社に転職して、手取りの金額は増えたけど、1年半経ってストックオプションの権利を行使した時は海外送金してそれなりのキャッシュが出ていって、、みたいな感じではあるけれど、別に何かに困ってるとかそういうわけではない。
が、、ですよ。コロナ。
日々の移動が無くなったし、出張もゼロになったし、なんか時間が増えたってことなのか分からないけど、2020年はかなり投資した。財政出動とか色んな措置があって、そのあぶく銭が株に向かったってことなのだと思うけど、皆んなが買うと上がるんですよね、株価って。
そんなこんなで売って利確したのもあるし、持ち続けてるのも沢山ある。
そして、自分には縁がないかもと思っていた未上場企業への投資をしたりもして。
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ようやくいよいよ本題なのだけど、お金ってなんだろう?ってふと考えるようになった。
豪邸に住みたいわけでもないし、高額なスポーツカーに乗りたいわけでもないし、毎晩高級ワイン飲みたいわけでもなければ、テーラードなスーツを着てビジネスをするわけでもなく、そんなことよりは心身ともに健康に暮らしていくのが最優先。
実は自分みたいな人って多いんじゃないかな?って思ったりする。なんというか、本気で億ションに住みたいとか、本気で金持ちになりたいとかってヤツ、周りにいないっていうか、そういう人とはちょっと距離を置いておきたい気もするし。。
そして、体の健康っていうのは分かりやすいけど、では『心の健康』ってどうだろうか?なんていう風に思うわけですよね。
例えば↓この本。たぶん、この人、投資しなくても十分リッチなんですよね、、それに引き換え、膨大な時間と、そして何より、ここにたどり着くまでの心のダメージは相当デカかったんじゃないかな、と。自分が目指してるのはこういうところじゃないなって。読み物としてはとてもエキサイティングでナイスなサクセスストーリーなのでオススメだけど。
この本読んでから余計なんかモヤモヤしてきて、っていうか、別にこんなラディカルなやり方しなくてもコツコツ積み立てていく方法があるでしょうに、、とか思って、最近色んなところで目にするというか話題になった本だと思う↓を読みました、と(実際はaudibleで聴いたんだけど)。
FIRE 最強の早期リタイア術 最速でお金から自由になれる究極メソッド Audible版 – 完全版
これ聞いて、自分にとって仕事が自分の心にどれだけ大切なのかが分かったというか。仕事って自己実現の場なんだよな、と。
思い返してみると、自分は絵が得意な人とか、手先が器用な人とか、大工とか左官職人とか、なんかそういう人への憧れが小さい時から凄かった。
が、圧倒的なセンスの無さというか。笑 図工とか美術とかいつも悲惨だったし、なんか自分が自分で切なかった。。。
が、学生時代にいわゆるSEをやってた友達からの影響が大きくて。別に絵かけなくても(バイトでフォトショとイラレでデザインするのやってたけど、ここでも大きな挫折を味わったw)、黒い画面でガツガツコマンド叩いて職人風なのに心底憧れたわけです。
そんなこんなで就職活動は商社や広告代理店はカスりもしなかったので、SEだけに絞って何十社も受けて。
自分なりに頑張り続けて、基本情報処理技術者とかソフトウェア開発技術者とか資格取ったり、なりたい自分に近づいた気がして。
なのでリタイアなんて考えられないし、仕事でアメリカやカナダに住んでたこともあるし、世界中色んな国を旅行もしたけど、なんだかんだで日本語通じて治安がいい日本が一番じゃんね、なんて境地にたどり着いて、地理的アービトラージとかってあんまりピンとこないというか、、っていうか、そんなにお金のことを気にしないで暮らしていきたいな、と。
なので、FIRE本から学べたことはインデックス投資の戦略くらいだけど、これって自分にとっては古くは勝間和代とか山崎元とかの本とかでも言われてたことで、10年以上前からやってることだったりもして、一冊通してあんまりピンとこなかったのです。
で、↓この本。あー、自分こんな感じかもっていう。これ読んで不愉快になる人いるかもだけど、自分には刺さったというか。
ということで、諦めの悪い自分はスタディサプリで数学を勉強して、いずれコンピューターグラフィックス的なことをとか、データサイエンス的なことをとか、なんというか何歳になっても夢見るおじさん感(笑)。まぁ、それが自分の心の健康を支えてるのだから、それでイイんですよ。
たまに、クソ忙しい中、頑張って全編英語のMBAコースに通って意識を高めていた日々を振り返ることがあるのだけど、あれはあれで経験としては良かったんだけど、なりたい自分って何だろう?みたいなことをもう少し考えてから応募しても良かったかなって思う(しかも一回落ちてて、次の年にようやく入学できたわけで…)。
とは言えSaaSなStartupで働いてるので↓こんな本とかやることないGWに読んじゃうんだけどね。
THE MODEL(MarkeZine BOOKS) マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス Kindle版
んま、とにかくコツコツ一生懸命働いて、自分がなりたい自分を目指すっていうのが、たくさんお金を貯めて早めにリタイアするっていうよりも自分的にはよっぽど心の健康に良いっぽいことが分かったので、コロナな中で自分のことを見つめ直す時間が取れたってのは良いことだったんじゃないかな?って思う今日この頃です。
そして、なんとなくなイメージだけど、もうさすがにエンジニアとしての伸びしろ無いかな?って50歳過ぎて思ったら、早期退職パッケージみたいなヤツでアレして(そんなもん都合よくあったりしないかw)、登山とかダイビングとかゴルフとか早起きしてアウトドアしちゃうおっさん目指すかな〜